【初心者でも安心】無料で使える市場調査サイト11選!政府統計から民間の調査結果まで

市場調査

市場調査とは

市場調査は新規事業開発、既存事業の戦略の見直し、製品やサービスの改善、事業撤退の判断など、ビジネスシーンにおける様々な意思決定に役立ちます。しかし、自社内に市場調査の専門家や専門チームを保有している企業は少ないのではないでしょうか?

今回の記事では、市場調査の初心者でも着手できる、政府や民間企業が公開している統計データを活用した市場調査について解説します。さらに、政府や有名な民間企業が無料でデータを公開している市場調査サイトも11選ご紹介!市場調査を検討されている方は、ぜひ本記事をお役立てください。

市場調査とは

市場調査とは、統計データ、アンケートやインタビューなどを用いて市場の動向やトレンド、顧客のニーズなどの様々な情報を収集、分析することを指します。市場調査の代表的な手法として、定量調査、定性調査、覆面調査、統計データ調査があります。

定量調査

対面、郵送、ウェブなどを使って、インタビューやアンケートを実施してデータを集める方法です。回答を数値化して計測できる調査方法が定量調査と呼ばれます。具体的には、企業や商品の認知度、購入やリピート率、顧客満足度などがあります。定量調査では市場の数値化だけではなく、時系列などで比較して、統計的にデータ処理を行えます。

定性調査

対面で1対1のインタビューやグループインタビューを実施して、意見を集める調査方法です。数字では表せない、言葉や行動などの情報が集められます。定性調査では、感情や意識などの心理的側面を質的に分析します。定性調査の手法はインタビューの他に、行動観察調査や訪問観察調査があります。

覆面調査

覆面調査とは、第三者が消費者としてサービスを利用して、情報収集をする調査方法です。飲食業をはじめとしたサービス業などで多く実施される調査方法で、競合や自社の実態を把握する手段として有効です。ミステリーショッパーやミシュラン・ガイドの調査員は覆面調査の一種です。

統計データ調査

政府や大学など公的機関、民間のリサーチ会社が調査・公表している統計データをもとに行う調査を統計データ調査と呼びます。例えば、人口統計を用いて製品やサービスの市場や今後の成長率を予測することが可能です。

市場調査の3ステップ

ここでは市場調査を実施する際の3ステップを解説します。

【ステップ1】調査目的と問いを明らかにする

市場調査を実施する上で重要なのが、何のために何を明らかにしたいか明確にすることです。新規事業のための市場調査であれば、その事業に参入する意図や目的を把握した上で、調査目的と問いを設定します。設定した問いに対しては仮説を複数用意しておくと、調査を設計しやすくなります。

【ステップ2】調査を設計する

問いに答えるために必要な調査を設計します。調査設計をする上で重要なポイントは以下4点です。

  • 分析単位は何か(例:企業、国、会員、従業員…)
  • どの集団を対象にデータを収集するか(例:業界、企業…)
  • どの分析手法を用いるか(例:定性、定量)
  • 設計した調査方法で問いに対する答えが出せそうか(調査設計の質を検証)

問いや仮説に計測が難しい言葉が含まれている場合は、計測もしくは観察可能な状態にするために言葉の意味を具体化させます。

例えば、調査の問いが「イノベーションを起こす、良いチームとは?」の場合、言葉の意味が広義すぎて、どのように計測すればいいか判断が難しいです。しかし、「イノベーション=新商品開発」、「良いチーム=コミュニケーションが多いチーム」と言葉の意味を具体化させることで、新商品開発の頻度や成功率、コミュニケーションの質や量など、調査において何を計測すればいいか判断がしやすくなります。

【ステップ3:データを収集する】

ステップ3では、問に答えるのにふさわしいデータを選び、収集します。代表的なデータの例として下記が挙げられます。

  • 個人の属性データ(性別、年齢...)
  • 行動やコミュニケーションのログデータ(チャットログ、購買行動...)
  • アンケート調査
  • インタビュー調査、フィールドワーク/参与観察
  • 雑誌新聞記事

市場調査を実施する目的とメリット

前項までは、代表的な市場調査の方法ついて解説しました。ここでは、市場調査を実施する目的とメリットについて紹介します。

市場調査の目的

市場調査は、ステップ1で設定した問いへの答えと仮説検証をおこなうために、市場動向を把握する目的で実施します。あるタイミングでの価格、売上規模、利用人数などの数字だけではなく、増減も把握し、問いと仮説を立証するための根拠として使います。

市場調査のメリット

市場調査を実施することで、業界の現状を把握できます。例えば、人口統計から今後の事業の成長性を予測したり、市場規模や消費者動向から新規参入や撤退の検討したり、製品やサービスの改良したりなど、ビジネスにおける意思決定の参考材料となります。

おすすめの無料市場調査サイト11選

市場調査サイトには政府統計から民間統計まで幅広く存在します。ここでは、代表的かつ無料で利用できるおすすめの市場調査サイトをご紹介していきます。

1. e-Stat 政府統計の総合窓口(総務省統計局)

e-stats

https://www.e-stat.go.jp/

各府省が公表している統計データを一つにまとめた政府統計のポータルサイトです。国土・気象、人口・世帯、労働・賃金、農林水産業、鉱工業、商業・サービス業、企業・家計・経済など、17分野の統計データを閲覧できます。

データ検索はもちろん、データのダウンロード、グラフの生成、統計データを地図上で表示するなど、様々な機能を備えています。信頼性の高く、民間企業では難しい大規模な定点観測のデータが揃っているため、市場調査を行う際はまずはじめにチェックしたいサイトです。

2. 統計ダッシュボード(総務省統計局)

統計ダッシュボード

https://dashboard.e-stat.go.jp/

統計ダッシュボードでは、国や民間企業が提供している約5,000の統計データをグラフやチャートなどに加工した状態で掲載しています。分野ごとに整理されているため、統計調査異名や調査実施機関が分からない状態でも、データを探し出すことができます。また、情報が期間や地域ごとにまとめられているため、経年変化や地域ごとの比較が可能です。

さらに、収録されている全てのデータは統計APIを無料で利用することができます。定期的に大量にデータを利用する場合は統計APIの活用もおすすめです。

3. 情報通信統計データベース(総務省)

情報通信統計データベース

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/

情報通信統計データベースでは、情報通信業基本調査や通信利用動向調査など、情報通信に関する各種統計データが公開されています。更新頻度は年3回で、インターネット、テレビ、ラジオなどの統計データを調べることができます。

4. 市場調査レポート(マクロミル)

マクロミル

https://www.macromill.com/contact/ja/reports.php

マクロミルでは、市場調査に役立つ様々な業界のリサーチデータを無料で公開しています。情報通信、広告・メディア、食品・飲料、日用品・化粧品、家電・自動車、流通・外食、教育・医療・健康、金融など、幅広く取り扱っています。

また、マクロミルではデータだけではなくマーケティングリサーチのノウハウも提供しています。ノウハウ集の「マーケティングリサーチ虎の巻」では、調査計画の立て方、調査仮設の立て方、調査対象者の決め方について解説されています。

5. 調査のチカラ(ITmedia)

調査のチカラ

https://chosa.itmedia.co.jp/

「調査のチカラ」はITmediaが運営する、インターネット上に公開されている無料アンケート・データを集約したサイトです。国の統計データから民間企業の調査結果まで、幅広く集約されています。キーワード検索や絞り込み検索ができるので、調べたいデータを効率的に発見することができます。

また、データを見つけやすいように「社会/政治」「ライフスタイル」「モバイル」「ビジネス」「キャリアとスキル」「マーケティング」などのカテゴリー分けがされており、カテゴリー別に最新の調査結果を確認できます。

6. 生活定点(博報堂)

生活定点

https://seikatsusoken.jp/teiten/

生活定点は博報堂が1992年から隔年で実施している定点調査データをまとめたサイトです。同じ質問を繰り返し投げかけているので、時代の流れとともに変化している(もしくは変化していない)生活者の意識のデータを確認できます。

生活気流、暮らし向き、衣食住、健康、遊び、学び、働き方など、21カテゴリーの定点データが無料で公開されています。これらのデータを性別、年齢、地域で比較することもサイト上でできます。また、生活定点のコラムでは、様々な分野のプロフェッショナルがデータから発見、感じたことが綴られています。

7. 調査・データ(リクルート)

リクルート調査データ

https://www.recruit.co.jp/newsroom/data/

リクルートの人材派遣業、不動産業、外食産業など様々な事業を通じて収集した消費者動向が公開されています。公開されているデータはカテゴリー分けされており、カテゴリーは雇用、住まい、マリッジ&ファミリー、自動車、進路、学習、旅行、飲食、美容、企業経営など10種類以上あります。

毎月10〜20件の調査結果が発表されているので、調査テーマと近しいカテゴリーがある場合は定期的にサイトを訪れるといいでしょう。

8. JMR生活総合研究所(JMR)

JMR生活総合研究所

https://www.jmrlsi.co.jp/

JMR生活総合研究所による、消費に関連する基礎的な統計資料やトレンドに合わせてJMRが企画した消費者調査の結果などが公開されているサイトです。JMRが調査した内容の例としては、アルコール市場酒類別課税出荷数量、「食と生活」のマンスリー・ニュースレター、「流通」のマンスリー・ニュースレターなどがあります。

統計データの閲覧には会員登録が必要です。無料会員と有料会員があり、統計データやレポートによっては有料会員ではないと閲覧できないものがあります。

9. 研究領域 レポート(ニッセイ基礎研究所)

ニッセイ研究領域レポート

https://www.nli-research.co.jp/?site=nli

ニッセイ基礎研究所の研究領域レポートでは、経済、金融、資産運用、経営、暮らし、医療・介護・健康・ヘルスケアなど、幅広いジャンルで専門性の高い研究領域レポートを公開しています。サイト内には研究員の経歴と連絡先が掲載されているので、レポートの内容について担当した研究員に問い合わせることができます。

サイトのヘッダーよりもフッターの方が細かくレポートの分野を分けているので、情報収集の際はフッターもぜひご活用ください。

10. 無料調査レポート(クロス・マーケティング)

クロス・マーケティング

https://www.cross-m.co.jp/report/

クロス・マーケティングでは、年間約10,000件以上ものリサーチを実施しています。無料調査レポートのサイトでは、その名の通り、リサーチ結果の一部を無料で公開しています。サイト上では調査データの概要やサマリーが閲覧できます。データ全体を確認したい場合は無料会員登録をした上でダウンロードが必要です。

会員登録するメリットとしては、データの閲覧だけではなく、会員限定のセミナーへ参加したり、分析ツール「Cross Finder2」を利用できたりします。そのため、データ取得だけではなく、調査方法について学びたい方にとっても大変有益なサービスとなっています。

11. 日本の広告費(電通)

電通日本の広告費

https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/

電通による「日本の広告費」では、日本国内で1年間(1月〜12月)に使われた広告媒体料と広告制作費の統計を調べられます。新聞、雑誌、ラジオ、テレビのいわゆるマス四媒体、衛星メディア、インターネット、プロモーションメディア、媒体社、広告制作会社の協力を得て年間の推定広告費を割り出しています。

また、同じく電通が運営している「世界の広告費」では、電通インターナショナルが調査した世界の広告費成長率に関するレポートが発表されています。

市場データ分析を意思決定に活用しよう

今回の記事では、市場調査の基本的な考え方や方法、無料で使える市場調査サイトをご紹介しました。統計データを活用して分析をおこなう際は、調査機関の信頼性・調査の実施時期・調査対象の母数・調査対象の属性の4点に注意しながらおこなうと、精度の高い分析結果を導き出すことができます。

また、データの引用や参照などのルールはサイトごとに異なるため、市場調査のためにデータを引用・参照する際は、各サイトのルールをご確認しましょう。

Airz Marketingでは、BtoB向けビジネスの新規事業開発や既存事業の成長支援を実施しています。コンサルティングの過程では、必要に応じて今回ご紹介したような統計データ分析もおこない、意思決定につなげていきます。

市場調査のやり方が分からない、市場調査をするためのリソースが足りない、意思決定に役立つ分析ができないなどの課題がありましたら、お気軽にAirz Marketingへご相談ください。