新規事業では顧客理解が重要!有用な視点と分析フレームワークを紹介

フレームワーク 新規事業

顧客分析を実施しているサラリーマン

新規事業では顧客理解が重要です。なぜなら、新規事業開発の初期フェーズから顧客理解を深め、リサーチや分析を進めていくことで成功につながります。この記事では、新規事業を始める際に顧客について考える重要性を解説した上で、具体的な方法論をご紹介します。顧客理解を深めるマーケティングリサーチの進め方や顧客意思の分析視点、顧客分析のフレームワークを取り上げていますのでご活用ください。

なぜ顧客理解が重要なのか

新規事業を起ち上げる際は3C分析が初期フェーズからよく活用されています。3C分析とは、自社(Company)・競合(Competitor)・顧客(Customer)の分析を通して事業戦略を練るフレームワークです。ここでは、3C分析を始める段階から顧客理解に努めるベネフィットについて解説していきます。

顧客の意思決定が売上に直結するから

顧客理解が重要な理由は、顧客の意思決定によって新規事業の成功の可否が分かれるからです。事業の売上は顧客の購買行動によって決まります。ターゲット顧客に合わせて事業を設計し、戦略を立てて営業やマーケティングを進めていかなければ売上が伸び悩みます。

事業を成功させる秘訣は、顧客の抱えている課題の解決になる商品やサービスを提供することです。顧客の課題を理解し、「買いたい」と思ってもらえる事業を企画することで、大きな売上や広いシェアの獲得を目指せます。

新規事業では社内調査や競合調査を優先しがちだから

顧客理解をまず考えるべきなのは、実際に新規事業の企画立案をする段階では顧客がないがしろにされがちだからです。新規事業を検討する際にはまず社内の過去の事業を振り返ったり、現状の事業状況を調査したりすることから始める傾向があります。

そして、新規事業のアイディアが生まれてから、競合他社の事業状況や商品・サービスについて調査して比較検討するのが一般的です。社内調査や競合調査が優先されていて、顧客視点が抜け落ちたまま事業計画の策定にまで至るケースもあります。

顧客ニーズに応えられる新規事業になるから

新規事業を成功させるには顧客ニーズに応えるのが重要です。顧客視点の事業を展開してこそ売上が伸びるチャンスがあります。新規事業開発の初期フェーズから顧客理解に努め、社内調査や競合調査にも顧客視点を盛り込むと、ニーズにマッチする事業を策定できます。顧客視点の新規事業を起ち上げるには顧客理解にまず取り組み、分析を進めていくのが肝心です。

顧客理解のためのマーケティングリサーチ

新規事業開発にあたって顧客理解を深めるためには、マーケティングリサーチが重要です。リサーチによる情報やデータを最大限に生かし、顧客分析を進めるとニーズに応えられる事業を策定できるからです。顧客理解に有用なマーケティングリサーチは以下の流れで進めていきます。

  • リサーチ目標の設定・企画
  • リサーチ手法・調査項目の立案・設計
  • マーケティングリサーチの実施
  • リサーチレポートの作成
  • リサーチ目標の設定・企画

マーケティングリサーチは目標の設定から始めます。そして、新規事業のターゲットとなる顧客についてどのような情報が必要かを考えて、リサーチの大枠を企画します。経営課題や競合他社の動向も踏まえて、何がわかれば事業戦略を導き出せるかを慎重に議論する段階です。

リサーチ手法・調査項目の立案・設計

目標と企画が明確になったら、マーケティングリサーチの施策を具体化します。顧客の生の声の獲得になるインタビュー調査やアンケート調査なども加味して、目標達成につながるリサーチ手法を選定します。個々のリサーチ手法の目的を明確にして、調査項目も具体化することが必要です。

マーケティングリサーチの実施

調査設計ができたらマーケティングリサーチを実施します。自社でリサーチを進めることもできますが、リサーチ会社や事業開発サポート会社に依頼することも可能です。複数のリサーチ手法を使うときには相互連携を取り、目標達成に向かっているかを確認していきます。中間報告をまとめて情報を整理し、新しい発見があったときには追加調査も計画・実施します。

リサーチレポートの作成

一連の実査を終えたら、マーケティングリサーチの結果をレポートにまとめます。リサーチレポートは今後の新規事業開発でも顧客理解の参考になる重要な資料です。調査目標の達成度を評価し、リサーチ手法や調査項目の改善点を考察する機会にもなります。事業推進にはマーケティングリサーチが欠かせないので、リサーチ結果を総括して次のリサーチに活かすことが大切です。

購買意思決定を左右する5つのリスクとベネフィット

新規事業では顧客の購買行動につながる企画・計画の立案が必要です。顧客の購買意思決定を左右する要素を念頭に置いてリサーチ結果を分析すると、具体的なアイディアの創出につながります。
顧客が購買するかどうかを決断するときには、以下の5つの角度からリスクとベネフィットを考えるのが一般的です。

  • 金銭
  • 機能
  • 身体
  • 心理
  • 社会

購買によるリスク・ベネフィットのそれぞれについて、5つの観点から顧客が何を検討するのかを簡単に確認しておきましょう。

購買意思決定にネガティブに働く5つのリスク

リスクは顧客の購買意思決定に対してネガティブな要素です。リスクが大きいほど購買意欲が低下するため、新規事業開発ではいかにしてリスクを減らすかが重要になります。

金銭的リスク

金銭的リスクは「高いから買わない」「安すぎるから買わない」という顧客の意思決定になる要素です。高いと金銭的に手が出ないのが問題になりますが、安い場合には品質に不安が生じます。高すぎても安すぎても購買をためらう傾向があるので注意が必要です。

機能的リスク

機能的リスクは「この商品では機能は品質に不安があるから買わない」という判断につながる要素です。購入しても役に立たなかったり、満足できなかったりしたら意味がありません。見た目や試用などでわかる知覚品質によって機能的リスクが評価されています。

身体的リスク

身体的リスクは「体への悪影響が心配だから買わない」という考えです。体質に合わない、副作用がある、利用に危険があるといったときには身体的リスクがあると判断して購買行動が抑制されます。安全性に対する意識が高まり、購買意思決定で大きな比重を占めるケースが増えています。

心理的リスク

心理的リスクは「時期尚早かもしれない」「使いこなせない」などの心理的な理由で「買わない」と判断する要素です。個人の考え方や情緒などによって大きく左右されるため、顧客理解に努めなければ心理的リスクを下げる施策を考えるのは容易ではありません。

社会的リスク

社会的リスクは「社会の目が気になるから買わない」という購買意思決定の要素です。顧客が所属している集団の雰囲気や、暮らしている国や地域の文化によって大きく影響を受けます。年齢や身分なども考慮して社会的リスクを考えるのが一般的です。

購買意思決定にポジティブに働く5つのベネフィット

ベネフィットは顧客の購買意思決定にポジティブに働く重要な要素です。顧客の購買行動を促すために、ベネフィットをはっきりと伝えることが新規事業の成功につながります。

金銭的ベネフィット

金銭的ベネフィットは「安くてお得だから買いたい」というわかりやすい購買意思決定のプラス要素です。お得感があるから購入する、使った後に高く売れるから買うといったケースが目立ちます。納得の価格なら購買行動に移りやすいのでイメージしやすいベネフィットです。

機能的ベネフィット

機能的ベネフィットは「悩みの解決にうってつけだから買いたい」という判断につながる要素です。必要な機能やサービスがあるとわかったときに購買意欲が高まり、買ったら満足できると想像できたら購買に踏み切るのが典型的な流れになっています。

身体的ベネフィット

身体的ベネフィットは「おいしそう」「肌触りが良い」といった五感に訴えかけるポジティブな要素です。体感や体験によって身体にとってポジティブな影響があるとわかったときに、顧客は身体的ベネフィットを感じて購買意欲が高まります。

心理的ベネフィット

心理的ベネフィットは「安心できる」「ドキドキワクワクする」といった期待を実現する要素です。情緒や気持ちの面で期待に応えてくれると感じた顧客は、商品やサービスの心理的ベネフィットが大きいと捉えて購買判断をします。

社会的ベネフィット

社会的ベネフィットは「周囲から褒められそう」「持っていれば高い評価を得られそう」だから買いたいと思う要素です。顧客を取り巻く環境や文化、集団などの社会とより良い形で付き合えるかどうかが社会的ベネフィットの基準になります。

顧客理解に役立つフレームワーク4選

顧客理解を深めるにはリサーチしたデータに基づく顧客分析が有用です。顧客分析には様々な種類のフレームワークがあります。フレームワークはどれを選んでも良いわけではなく、目的に応じて適切に決めるのが重要です。ここでは新規事業開発で顧客理解を進める際に有効な4つのフレームワークとそれぞれの特徴を紹介します。

RFM分析

RFM分析は購入の時期・頻度・金額という3つ視点で顧客を分析するフレームワークです。RFMとは顧客分析に用いる以下の指標の頭文字になっています。

  • Recency:最終購入日
  • Frequency:購入頻度
  • Monetary:購入金額

RFM分析は顧客の購買行動を分析して、事業やマーケティングの戦略を最適化するのに効果的です。RFM分析では3つの指標を用いて顧客をグループ分けして、グループごとに特性を分析します。最近購入した顧客をターゲットにしてリピーター化を目指す、購入頻度が低くても購入金額が高い顧客に頻繁にアプローチするといった形で具体策を立てることが可能です。

コホート分析

コホート分析は購入後の顧客の行動や志向を追跡的に分析するフレームワークです。コホート分析は顧客のLTVの向上を重視する新規事業開発の際に適しています。

購入後の顧客の動向を追跡して変化を分析する手法だからです。年齢や性別、購入商品などによって顧客をグループに分けて、それぞれのグループに共通する行動を見るのがコホート分析の基本的なアプローチです。顧客の行動理解を通してLTVの高い事業を展開することができます。

コホート分析には顧客の追跡調査が必要です。サブスクリプションサービスやECサイト・アプリの運用をして継続的に情報を集めて分析する方法がよく選ばれています。

デシル分析

デシル分析は顧客を購入金額の大きさに応じて10等分にグループ化して分析するフレームワークです。売上に貢献している顧客を選び出すのに有効なのがデシル分析の特徴です。

デシル分析では購入金額で顧客をランク付けして、単純に購入金額で線引きをして10グループに分けます。グループごとに累計購入金額や購入頻度などの傾向を分析し、売上貢献度が高くて今後のリピートも期待できる顧客を選び出すのが一般的なアプローチです。

新規事業は売上が伸びてこそ推進する意味があります。デシル分析は自社視点で優良顧客のグループを見出し、顧客理解を通して事業戦略を検討できる方法です。

CTB分析

CTB分析は顧客の興味関心をカテゴリ・テイスト・ブランドの3つの視点で分析するフレームワークです。CTBとは顧客分析の指標として用いる3つの視点の頭文字になっています。

  • Category:カテゴリ(分類)
  • Taste:テイスト(趣向)
  • Brand:ブランド(銘柄)

顧客が購買判断をするときには好みに合わせて選びます。CTB分析では顧客の趣味や興味を3つの視点から抽象化してグループ分けをするのが特徴です。グループごとに購買行動を分析すると顧客のセンスや志向がわかります。

CTB分析による顧客理解は事業のコンセプト策定、商品や店舗のデザイン、マーケティング施策の設計などにも有用です。新規事業開発の初期フェーズから活用すると、顧客視点の事業の創出につながります。

顧客理解が新規ビジネス成功の鍵を握る

新規事業開発では初期フェーズから顧客理解を進めるのが大切です。事業の売上は顧客の購買行動によってもたらされるため、顧客ニーズを満たす事業展開が必要になります。

マーケティングリサーチを実施して顧客理解に努めることで、新規事業の方向性も計画も明確にできます。さらに、顧客にとってのリスク・ベネフィットを分析することで、購買行動に顧客を導く方法を具体化できます。

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