営業資料の作り方とは?ポイントや全体構成、手順まで解説
営業パーソンにとって不可欠な商売道具である「営業資料」。しかし、実際に成果に結びつく資料を作成できる人は多くありません。特に新規ビジネスにおいてはゼロから作成しなければならないので、よりハードルが上がります。
そこで本記事では、営業資料の作り方を中心に、作成時のポイントや注意点、全体構成、作成手順をわかりやすく解説します。本記事を参考にして、顧客に刺さる資料作成を目指してみてください。
営業資料が重要な3つの理由
営業資料を作成することが重要な理由として、今回は代表的なものを3つ紹介します。
1. 営業の質を担保できる
1つ目は、営業の質を担保できるからです。営業職は、その特性上どうしても属人化しやすい職種です。いくら営業で身につけたナレッジやノウハウを社内で共有しても、それぞれが習得するには限界があります。
しかし営業資料があることで、営業パーソンの説明の仕方や内容を統一化でき、各営業パーソンが同じようにパフォーマンスを発揮しやすくなります。それは結果的に、全体のクオリティを保つことになります。営業のクオリティが担保されることで、最終的に成約率や売上の向上につながるでしょう。
2. 提案が伝わりやすくなる
2つ目は、提案が伝わりやすくなるからです。営業資料があれば、口頭で説明されるだけよりも、圧倒的に情報量が増えます。
営業資料はグラフや写真なども利用できることから、説明内容や利用シーンの解像度を格段にアップします。結果として、商品やサービスの魅力を訴求しやすくなり、顧客は将来的なメリットや課題解決につながるプロセスへの理解が深まります。
3. 見返すことができる
3つ目は、後日見返すことができるからです。商談があったからといって、その場では成約に至らないケースも多いものです。しかし顧客に営業資料を渡しておけば、社内稟議や検討の際に役立てることができます。
営業資料は営業パーソンの手にあるうちは強力な武器になりますが、顧客の手に渡ってからは営業パーソンに代わって営業を行ってくれます。そのため営業資料を細部まで作り込むことが、最終的な成果を大きく左右するでしょう。
営業資料を作成する上で押さえておくべきポイント
それでは営業資料を作成する際には、どのような点に気を付けたら良いのでしょうか。ここでは代表的な4つのポイントを解説します。
1. ターゲットを明確にする
営業資料を作成する際には、ターゲットを明確にしておくことが欠かせません。ターゲット像がズレていたりぼんやりしていると、顧客にうまく訴求できないからです。
それゆえターゲットの性別や年齢、属性、居住地、職種などに合わせて、構成や情報量、言葉などを変化させながら、資料を作成することが重要です。
2. 営業資料におけるメッセージも明確にする
ターゲットのみならず、営業資料におけるメッセージも明確にしておく必要があります。メッセージが顧客に伝わりやすければ、それだけ成約率の向上も期待できるからです。
ただし伝えたい内容は、顧客にもメリットがあるように記載することをおすすめします。仮に伝えたいことが「商品やサービスを購入・契約してほしい」「早めに決断してほしい」だったとして、そのメッセージをそのまま顧客に伝えてしまえば、大幅な購買意欲の低下につながるでしょう。
そこで、例えば次のように言い換えることが求められます。
・購入・契約してほしい:特典として無料で〇〇をプレゼント(購買意欲のアップ)
・早めに決断してほしい:今なら〇%割引(意思決定のスピードアップ)
表現を変えることで、顧客にうまく伝えられるように工夫しましょう。
3. 利用シーンやシチュエーションを想定する
また営業資料の利用シーンやシチュエーションを考えながら、資料を作成することも重要です。営業資料は営業パーソンが使用するのみならず、社外の人が確認するケースがあるからです。そのため、第三者の誰が見ても理解できる構成や内容に仕上げておく必要があります。
また利用されるシチュエーション別に、テイストや見た目を検討しましょう。利用シーンやシチュエーションを念頭に置きながら、資料作成にあたることで、効果を最大限発揮できます。
・大会議での説明:文字サイズを大きくして、図や表を多用する
・配布資料:見やすさを重視しながら、文字サイズや文字量を調節する
・複数の顧客に対してプレゼン:パンフレット形式でキャッチコピーやメリットを強調する
4. 数字を有効活用する
営業資料では定量的に語ることを忘れてはいけません。提案するプランや商品を導入することで、どれほどの効果が見込めるのか、過去の事例ではどれほど業績がアップしたのかなど、数値を使って顧客に伝えることで、より信憑性が増しやすくなります。
それゆえ導入実績数や利用満足度など、活用できる数値は営業資料に載せるように心がけましょう。
営業資料の全体構成
ここからは営業資料の全体構成を紹介します。代表的な全体構成は、以下の通りです。
標題 | 掲載する内容 | |
1 | 表紙(タイトル) | 資料の趣旨を表現 |
2 | サマリー | 自社商品やサービスの概要を説明 |
3 | よくある課題 | 顧客が抱えやすい課題を提示 |
4 | 商品・サービス紹介 | 自社商品やサービスを利用することで、解決できる課題や見込める効果を記載 |
5 | 導入後のメリット・効果 | 自社商品やサービスを導入することで、得られるメリットや効果を定量的・視覚的に提示 |
6 | 選ばれる理由 | 自社商品やサービスの信頼性・信憑性が高まる内容を紹介 |
7 | 事例紹介 | 既存顧客の成功事例を紹介 |
8 | 導入企業や事例一覧 | 実績となる導入企業を一覧で記載 |
9 | 料金プラン | 自社商品やサービス利用にかかる料金プランを提示 |
10 | 利用時の流れ | 購入・契約から導入・運用までのプロセスを説明 |
11 | よくある質問、Q&A | 顧客が抱えやすい質問に対する回答を掲載 |
営業資料の作成手順
ここからは営業資料の作成手順を解説します。具体的な流れは以下の通りです。
|
各項目の詳細を見ていきましょう。
1. 目的やターゲットを明確にする
まずは目的やターゲットを明確にすることから始めましょう。
目的は見込み顧客の増加なのか、成約率の向上なのか、資料の利用シーンはいつなのかなどを検討します。またターゲットは年齢や性別、属性、ニーズなどから明確にしましょう。営業資料を作成する前に軸をはっきりさせておくことで、ブレのない資料作成を実現できます。
2. 表紙を作成する
次に表紙を作成します。表紙は第一印象を大きく左右するため、具体的かつ簡潔に作成することが求められます。以下のポイントを意識しながら作成しましょう。
|
表紙を作成する際には、いきなり自社商品やサービスをプロモーションしないように注意しましょう。営業色が強くなればなるほど、顧客の購買意欲は低下します。キャッチコピーやデザインなどを駆使してサラッと紹介するのは問題ありませんが、最初は顧客にまず興味を持ってもらうことに注力しましょう。
3. 顧客が抱える課題を分析する
次に顧客が抱えやすい課題を提示し、購入や契約の動機づけを行います。
どれほど質の高い商品やサービスを提供できたとしても、どのような課題を解決できるものなのかが伝わらなければ、顧客が購入や契約することはありません。そこでまずは顧客が抱える課題を発見・分析することが重要です。
その際に注意したいのが、汎用的な課題を提示しないことです。競合他社にも当てはまるような課題を提示されても、顧客が興味を示すことは少ないからです。それゆえ徹底的に顧客に寄り添い、顧客の現状や立ち位置、事業規模に合わせて、課題や分析を提示することが、顧客の心の施錠を解くことにつながります。
4. 顧客が抱える課題の解決策を紹介する
顧客が抱える課題を提示したら、その解決策を紹介しましょう。よくある課題の提示が「動機づけ」であるならば、解決策の紹介は「購入・契約意欲の向上」にあたります。
ただしこの時点では、自社商品やサービスでの解決策のみを提示する必要はありません。むしろすべての解決策を提示したほうが、顧客にとっては印象が良いでしょう。
そのうえで「なぜ自社商品やサービスを利用するのがベストな選択なのか」を伝えます。この問いに対する答えを力説できるか否かが、購入・契約してくれるかにかかっています。その際、自社のPRだけにこだわらず、競合他社との比較データや実績などを付け加えることで、顧客からの信頼を勝ち取りましょう。
5. 商品やサービスを簡潔に説明する
よくある課題、そして解決策を提示したうえで、なぜ自社商品やサービスを購入・契約する必要があるのかを顧客に訴えます。
このとき、商品やサービスの特徴や情報を羅列しているだけでは、顧客は利用シーンや利用価値を想起しづらいでしょう。そのため購入や契約後のメリットをイメージできるような内容にすることが重要です。以下の点を押さえて、商品・サービスの説明を行ってみてください。
【商品・サービスの紹介】
・どのようなプロセスで課題解決が可能なのかを記載する
・誰向けの商品・サービスなのかを記載する
・実際の商品やサービスの写真を掲載する
【購入・契約後のメリットの紹介】
・導入後のメリットをグラフや表などで可視化する
・メリットの目安を定量的に記載する(いくら削減できるか、どのくらい作業効率がアップするかなど)
・費用対効果を記載できるとなお良し
営業資料と実物との間のギャップが大きいと、顧客満足度の低下につながります。そこで写真やビジュアルを活用することで、より具体的なイメージを与えるようにしましょう。
6. 導入企業や事例を紹介する
次に導入企業や事例を紹介します。そうすることで信頼性がアップし、顧客は導入後のイメージがしやすくなります。導入企業や事例を紹介する際には、以下の点に気を付けましょう。
|
7. 料金や利用時の流れを説明する
料金や利用時の流れに関する説明は、金銭的な抵抗感を与えないために、以下の点を意識して作成しましょう。
|
8. 会社概要やメディア掲載歴などを提示する
最後に会社概要や問い合わせ先を記載し、受賞歴やメディア掲載歴などがあれば載せるようにしましょう。このページでは自社宣伝を行うページになるため、自社商品やサービスを説明する必要はありません。むしろこれまでの成果や実績を掲載するようにしましょう。
営業資料を作成する上での注意点
営業資料を作成する際には、以下のポイントを確認しながら進めることをおすすめします。
|
営業資料は社内外の多くの人に読まれることから、細部にまでこだわって作成する必要があります。それゆえ以上の点にまで気を配りながら、最大限完成度の高い営業資料を作成することを心がけましょう。
成果につながる営業資料を作成しましょう
営業資料は、商談時や営業時に自社商品やサービスを魅力的に伝えるために欠かせないものです。営業資料は、全体構成を整え、内容や見せ方を改良すれば、すぐに効果を発揮します。営業スキルに自信がなくても、成約率をアップしてくれる強力な武器になるでしょう。
本記事を参考にしながら、ご自身の営業資料を見返してみてください。改善できる部分はすぐに直して、より完成度の高い営業資料を使い、効率的に営業活動を行っていきましょう。
なおAirz Marketingでは、営業資料を始めとした各種文書作成の支援も実施しています。また市場調査レポート、マーケティング・セールスプランなどの内部資料、社外向け販促資料まで幅広く対応していますので、お気軽にご相談ください。